健康経営による採用と離職率への好影響【事例】:福岡の鍼灸師が紹介

人材不足が深刻化する中、採用コストの増大や人材の定着率低下は、企業経営にとって無視できない問題です。また従業員の健康課題は、採用や離職率にも大きな影響を与えることが分かっています。

こうした問題に対し、実は近年、健康経営の実践が「応募者数の増加」や「離職率の低下」といった明確な成果につながっている企業が増えています。

本記事では、健康経営が採用と離職率について好影響をもたらした事例を紹介していきます。


健康経営と採用・離職率との関係性

近年、「健康経営」は従業員の健康を守る取り組みにとどまらず、人材採用の向上や離職率の低下につながる経営戦略として注目されています。

実際に経済産業省の調査では、健康経営の推進が採用活動と離職率に好影響をもたらしていると報告されています。

企業の事例に入る前に、上記報告について各種データとともにみていきましょう。

~就活と健康経営~

日経新聞社で実施された採用に関するアンケートでは、就活生・転職者の約7割が「企業が健康経営に取り組んでいることが就職先の決め手になる」と回答しています。

また、求職者が働く職場に望むものに対する回答のトップは「心身の健康を保ちながら働けること」になっています。多様な価値観を持つ働く世代において健康経営が重要な要素を持っています。

出典:これからの健康経営について 2025年4月|経済産業省 商務・サービスグループヘルスケア産業課 48ページ


働く世代において健康経営は重視されており、就職の「決め手」となり得ることがわかります。

~健康経営が離職率の低下に~

離職率に関する調査では、健康経営度の高い企業の離職率は、全国平均のそれと比較すると半分以下であることが報告されています。


出典:これからの健康経営について 2025年4月|経済産業省 商務・サービスグループヘルスケア産業課 50ページ


健康経営施策の充実は従業員満足度の向上にも寄与し、結果として離職率の低下につながるのではないでしょうか。


このように、健康経営は「人が集まり定着する企業づくり」に直結する施策であることがいえます。
上記データを踏まえたうえで、次からは実際に健康経営によって採用や離職率に好影響をもたらした企業の取り組み事例を紹介していきます。


人材採用に好影響が出た企業

ここからは健康経営の推進が人材採用に好影響をもたらした事例を紹介します。
今回は限られた人員の中で、健康経営の導入により人材採用に成果をあげている企業事例をみていきます。

【日美商事株式会社】

創業1938年の日美商事株式会社。
80年を超える歴史を持ち、電線・ケーブル・光ファイバーや化成品などの専門商社で幅広い産業分野のインフラを支えています。

同社は環境経営やSDGsの実践とともに「従業員の健康を経営の重要な柱」と捉え、健康経営の取り組みに注目しています。
2017年から健康企業宣言を行い、健康経営優良法人の中でも中小企業部門の上位500社であるブライト500にも認定されています。

◆健康経営を始めたきっかけ

健康経営に取り組み始めたきっかけは、東京都電気健康保険組合からの「健康企業宣言」の案内。
従来から従業員の健康意識は高かったものの、この制度への参加を通して、健康に関する取り組みを体系的かつ戦略的に進めることになりました。

また、従業員数がコンパクトな企業では、1人の体調不良が業務に大きな影響を与えるという現実があり、このようなリスク管理の観点からも「健康経営を経営課題として捉える必要がある」と判断したことが背景にあるようです。

◆健康経営の主な取り組み

同社の健康経営は、職場全体で健康意識を高める工夫が特徴的です。主な取り組み内容は次の通りです。

1.健康づくりの環境整備

●経営者による健康経営・健康宣言を社内外に発信
●従業員の健康保持・推進に関する計画策定と実施
●健康診断を全社員が受診
→上記に加え、有所見率・特定保健指導率の改善を目指す
●生活習慣病検診の実施
→35歳以下の社員も受診
●感染症対策
→自動消毒器・検温器・空気清浄機の設置
●職場の“食”
→健康で安全な食の紹介
●職場の“運動”
→朝礼時のラジオ体操・ストレッチ
●職場の“禁煙”
→オフィス内は全面禁煙(喫煙所は屋外に設置)
●社員自身の健康管理についてスピーチを行う

参考:日美商事株式会社|コンプライアンス|日美商事の健康企業宣言

2.組織体制としての体制整備

●各部署から選抜された「健康管理委員会」の設置
●健康経営アドバイザー資格者による活動推進
●健康に関する勉強会・講座の企画運営

参考:サントリーウエルネスOnline|従業員数25名の会社で取り組む健康経営。日美商事株式会社にインタビュー

3.心と体の両面ケア

●メンタルヘルス対策
→ストレスチェックの実施と必要時の専門サポート紹介
●感染症BCPの策定による感染予防、発生時における対応の実施

参考:サントリーウエルネスOnline|従業員数25名の会社で取り組む健康経営。日美商事株式会社にインタビュー
参考:公益財団法人 東京都中小企業振興公社|BCP策定支援ポータル

こうした取り組みは、日々の習慣や職場の文化として健康を促進する仕組みづくりにつながっています。

◆健康経営実践による効果 ~採用活動で活きた健康経営~

健康経営に取り組むことで求職者からの評判が良く、特に「健康経営優良法人」というブランド力が採用活動で応募者数の増加につながったという実績があります。

実際、同社が選考活動を行った際には、認定前に比べ応募数が大きく伸び、求人者に安心感を与えているのでは、という声も報告されています。

参考:健康経営優良法人2023中小規模法人部門

出典:これからの健康経営について 2025年4月|経済産業省 商務・サービスグループヘルスケア産業課 54ページ

その他、健康管理委員会を設け毎週の情報発信や朝礼でのスピーチ・体操などを取り入れることで、従業員一人ひとりの健康意識が着実に高まっています。従業員同士で健康を話題にする機会が増えたこと自体が、健康行動の定着につながっています。


離職率に好影響が出た企業

次からは健康経営の推進が離職率に好影響をもたらしている事例です。
今回は同業界の中でもかなり低い離職率を実現している企業を紹介します。

株式会社アイザック・トランスポート

株式会社アイザック・トランスポートは、産業廃棄物の収集・運搬を全国で手がける物流企業です。富山県に本社を置き、環境保全や安全運行を重視しながら、地方自治体や企業から信頼されるサービスを提供しています。

同社は、従業員の健康と安全を守ることが高品質なサービスにつながるという考えから、健康経営にも積極的に取り組んでいます。

◆健康経営を始めたきっかけ

業界に対してポジティブなイメージを持ってもらいたいという経営者の想いから、社内外の活動にはもともと積極的取り組んでいたそうです。

そんな中、健康経営に取り組み始めたきっかけは、健康保険協会からの「健康企業宣言」の案内。従来行ってきた活動をベースに、自社でも十分にやれそうな内容だと感じ、取り組みを始めました。

特に運転手の健康状態は他の従業員と比べて悪い傾向にありますが、こうした状況を改善し、より安心・安全な運行ができればと思い、継続して健康経営に取り組んでいます。

◆健康経営の主な取り組み

アイザック・トランスポートでは、以下のような従業員の健康を多角的に支える仕組みを導入しています。

1.健康診断・検診の充実
●年に2回の健康診断を実施
●45歳以上を対象に脳ドック・がん検診の受診を推奨(費用助成あり)
●インフルエンザ予防接種への補助制度

これらにより、早期発見・早期対応を促進しています。

2.運動・休憩環境の整備
●社屋にトレーニングマシンや広いリフレッシュテラスを設置
●シャワールーム、更衣室の整備

従業員が体力づくりやリフレッシュできる環境を整えています。

3.勤怠管理の仕組み整備
●専用の勤怠管理システムを導入
●運転時間、休息時間の法令遵守を徹底

物流業界に特化したシステムで、休息や労働時間を見える化し、健康に配慮した勤務管理を実現しています。

参考:株式会社アイザック・トランスポート|健康経営・勤怠管理への取り組み

◆健康経営実践による効果 ~低離職率の維持を実現~

健康経営の取り組みにより、同社の離職率は非常に低く3年で1人程度の離職ペースという実例が紹介されています。

一方、運輸業・郵便業全体の離職率(2024年データ):約10.2%という統計があり、これと比較しても同社の離職率は、極めて低い数値で成果をあげています。

参考:健康経営優良法人2025中小規模法人部門
参考:令和6年 雇用動向調査結果の概要|産業別の入職と離職

また、従業員が心身ともに健康であることは、安全運行の確保にも直結しています。その結果として顧客満足度や企業の信頼性向上にも寄与しているといえます。

さらに同社は「健康経営優良法人」に6年連続で認定されており、これは健康経営の継続的な実践と成果が認められた証です。


まとめ|健康経営がもたらす〝本質的価値〟

本記事では、健康経営が「従業員の健康づくり」にとどまらず、人材採用力の向上や離職率の低下といった経営課題の解決に直結することを、企業事例を通じて見てきました。

日美商事株式会社の事例からは、健康経営への積極的な取り組みが企業イメージの向上につながり、求職者から「選ばれる会社」になることで、採用活動に好影響をもたらしていることがわかります。

また、株式会社アイザック・トランスポートの事例では、従業員の健康を重視した職場環境づくりが、定着率の向上や離職率の抑制につながっている点が示されました。

これらに共通しているのは、『職場全体を通して「健康管理をコストとして捉える」のではなく、人材への投資=経営戦略の一部として位置づけている点』だといえるでしょう。

健康経営は、短期的な成果だけでなく、組織の信頼性や働きやすさを高め、結果として持続的な企業成長を支える基盤となります。

人手不足が深刻化する今だからこそ、健康経営は「コストがかかるもの」ではなく、人材採用や離職率の改善といった“経営課題の解決”に直結する取り組みとして、実践的で現実的な選択肢といえます。

そして、自社の課題に合わせた形で健康経営を取り入れることが、人材の採用・定着両面から企業力を高める第一歩となるはずです。



以上、御社が取り組む健康経営について参考になれば幸いです!
福岡みらいテラス鍼灸は、企業様の現状に合わせ成果につながる健康経営の実現をサポートしています。

最後まで読んでいただきありがとうございます!