健康経営で生産性向上に取り組む事例:福岡の鍼灸師が紹介

従業員の健康に投資することは、本当に企業の利益につながるのか。

こうした疑問に対し、近年は健康経営の導入によって、

“ 生産性の向上を目指す ”
“ 生産性が改善した ”

という事例が多く報告されています。

また、多くの企業が健康経営の目的として、業務の生産性向上に注目しています。

本記事では、生産性向上に向けた企業の取り組みを紹介していきます。


【マツ六株式会社】

建築金物、住宅資材、バリアフリー資材など幅広い商品を取り扱う専門商社兼メーカーとして事業を展開するマツ六株式会社。

同社は『協調互敬』の経営理念のもと、従業員が心身ともに健康で、いきいきと働き、生産性の向上と企業価値の創出を目指すことを健康経営の推進方針としています。

◆健康経営を始めたきっかけ

マツ六株式会社では、会社の根幹である「人」を重視する経営観から、早くから「人の健康・安全」に関心を持っていました。健康経営優良法人の認定を受ける以前から、社内の業務改善委員会で感染症予防や禁煙などの取組みを実施しています。 

時代の変化とともに、従業員が直面する健康課題(生活習慣病のリスク、メンタルヘルスの問題など)が増加。これを機に、より体系的・戦略的な「健康経営」を導入する必要性を感じ、2019年に「健康宣言」を行っています。

◆健康経営の主な取り組み

●健診について

健康診断受診率100%を目指し、定期健康診断には標準検査として腫瘍マーカーを導入。他にも、乳がん検診の費用支給制度や二次検診の受診勧奨など、より手厚い健康チェック制度を取り入れている。

健診受診率は高水準で推移しており、過去数年の受診率がほぼ100%。
2024年の受診率は99.6%と高い水準を維持しています。

●メンタルヘルス疾病対策

ストレスチェック受検率100%を目標に掲げ、ストレス対処のためのセルフケア動画発信や高ストレス者への面談勧奨案内を実施。
さらに、仕事へのやりがいや健康状況を聴取する「自己申告書」を取り入れている。自己申告書の内容を基に、社員とコミュニケーションを行い、職場環境の改善や健康への取り組みに反映している。

2025年ストレスチェック受検率は98.7%。高ストレス者の常態化の削減に寄与。
同社はメンタルヘルス課題に対し、「予防的」に取り組むことが重要と考えている。

●身体負担軽減

身体への負担軽減のため希望者に健康グッズを支給している。
2023年には「ノートパソコンスタンド」を支給。社内健康アンケートでは77.5%の社員から「身体への負担が解消された」と回答があった。

●肥満・運動不足解消

健康アプリを社員に提供し、肥満解消につながる運動や生活習慣を奨励。
また、健康保険組合ではウォーキングプログラムを提供。健康保険組合と連携し、改善に取り組んでいる。その結果、運動習慣を持つ従業員の割合がアップしています。

●表彰制度

定期健診結果がすべてA判定の社員を「健康優良賞」として表彰する制度を導入。
この表彰制度を効果的に活用し定期的に健康に関する話題が社内に上がることで、自然と健康を意識する仕組みづくりができている。

◆健康経営実践による効果

健康経営に関して、社員の健康管理やいきいきと働くことができる環境づくりを推進した結果、生産性が向上するなどの効果が現れています。

また、生産性が向上したことにより2022年からは年間休日日数も増やすことができたそうです。

生産性(前年比)年間休日日数
2021年119日
2022年101.3%120日
2023年104.1%120日
2024年105.9%120日

(生産性:社員一人当たりの売上額(売上金額/総社員数))
出典:マツ六株式会社|健康経営

2010年頃から全社的な感染症予防や禁煙の取り組みなど、早くから社員の健康のために活動を導入していたマツ六株式会社。

今後はプレゼンティーイズム対策も強化することで更に健康経営を推進し生産性向上を目指しています。また、健康のさらに先の〝ウェルビーング〟を追求し、社員がいきいきと働くことができる環境づくりを通して持続可能な社会に貢献できる企業を目指す。としています。

参考:マツ六株式会社|健康経営
参考:健康経営優良法人2024中小規模法人部門


【株式会社長田工業所】

株式会社長田工業所は、福井県に拠点を置く設備工事・建築金物加工などを主たる事業とする企業です。

2020年に健康づくり宣言書を策定。
2022年に「ふくい健康づくり実践事業所」知事賞受賞、さらに2024年には2年連続で健康経営優良法人ブライト500に認定されるなど、鉄工所としての技術に加え、福利厚生・働きやすさに注力する姿勢を示しており、「ものづくり企業」だけでなく「働く人の健康と安全」を重視する会社として知られています。

◆健康経営を始めたきっかけ

健康経営導入の背景には、業務柄、社員の健康管理や安全確保が不可欠であるという認識があったようです。
また、総務社員自身が以前の職場でメンタルヘルス不調になった経験があり、メンタルヘルスの大切さを実感してから、社員と1on1で話をする機会を設け、社員の心の声を聴くようになったことが健康経営の最初のステップでした。

◆健康経営の主な取り組み

●健診について

定期健康診断・特定保健指導の受診率は100%。さらに、がん検診等のオプション受診増進のため詳しい説明を行い追加受診を進めている。
また、診断結果により精密検査が必要とされた社員に対しては受診を促し、結果報告を受けるようにしている。

●運動不足解消

就業時間外に行っていたラジオ体操を就業時間内の朝礼時に実施。
朝一に実施することにより「作業への取り掛かりがスムーズになった」との声もあり、安全対策や健康増進につながっている。

また、運動機会増進の取り組みとして「ふくいスニーカービズ ウォーキング大会」などに参加。

●健康意識の向上

「朝イチ5分間研修」を実施。健康・安全等をテーマに、社員の健康意識向上に寄与。
社員からも好評で、SNSで様々な活動を更新し社外にも発信している。

●食生活の改善

食生活改善・朝食欠食対策として置き型社食「オフィスおかん」を導入。
昼食に限らず、朝食や持ち帰りも可能な社食補助制度としている。

●メンタルヘルス対策

ストレスセルフチェックを実施し、集計・分析を行ったうえで個別面談の機会を設けている。また相談窓口を設置し相談対応を行っている。

◆健康経営実践による効果

就業時間内のラジオ体操では、朝一に実施することにより「作業への取り掛かりがスムーズになった」との声もあり、安全対策や健康増進につながっています。

また、同社では総労働時間を分析し、生産性は時間当たりの粗利で計算しています。健康経営導入後の2021年と2022年を比較すると生産性が14.7%改善しているという結果が出ています。

参考:株式会社長田工業所|健康経営
参考:健康経営優良法人2023中小規模法人部門


【SCSK株式会社】

大手ITサービス企業であり、幅広いITソリューションを提供しているSCSK株式会社。50年以上にわたり8,000社以上の企業と取引があり、ITによる社会課題の解決やビジネスの価値創造を支えています。

「社員一人ひとりの健康は、個々人やその家族の幸せと事業の発展の礎である。社員が心身の健康を保ち、仕事にやりがいを持ち、最高のパフォーマンスを発揮してこそ、お客様の喜びと感動に繋がる最高のサービスが提供できる」を健康経営の理念として掲げ、経営理念である「夢ある未来を、共に創る」の実現を目指しています。

◆健康経営を始めたきっかけ

IT業界を代表する企業として、同社は早くから健康経営を経営戦略の中核に据えてきました。
その背景として、IT業界の長時間労働や休みにくい職場環境、特に夜間作業や高負荷業務が多いことから、社員の心身の健康維持が持続的な事業成長にとって重要なテーマであったことがあります。

2013年頃に働き方改革を先行的に開始、2015年には「健康経営」の理念を経営の中心に据えることで、社員の心身の健康と仕事のパフォーマンス向上を両立させる取り組みを始めました。

◆健康経営の主な取り組み

●健診について

定期健康診断受診率100%、事後措置実施率100%を目標に実施。
2018年度からは健康増進施策の「健康わくわくマイレージ」と連携。「期限内の健康診断受診」と「再検査・受診報告への対応」を、インセンティブ支給基準に設定し、着実な受診率を維持している。
また、「特定保健指導」や「重症化予防プログラム」への誘導・勧奨を健康診断の事後措置フローに組み入れている。

健康診断の予約・受診・事後措置勧奨の各プロセスで上司を巻き込み、組織としての完遂を図っている。

●健康増進の施策

健康的な行動習慣と健康診断結果の良化を目的に「健康わくわくマイレージ」を実施。
ウォーイングや睡眠、食生活など健康維持・増進に向けた行動習慣に関する目標等と、年1回受診の定期健康診断結果をポイント化。一定の基準を達した社員に、獲得したポイント数に応じたインセンティブを支給するという仕組み。

2015年の開始以来、ほぼ全ての役職員が参加。現在では健康関連施策の基盤となっている。

出典:SCSK株式会社|健康関連4つの施策

●健康意識の向上

健康リテラシーを“自ら健康を決定する力”と位置付け、健康関連施策の土台として「階層別セミナー」・「テーマ別のセミナー」・「健康スキルアップ」と各種向上施策を展開。
階層別セミナーやテーマ別セミナーには、2019年度以降、のべ約18,000名が参加。セミナーはグループ会社にも展開し、同社グループとして健康リテラシー向上の底上げに取り組んでいる。

・階層別セミナー
各年代の課題やニーズに合わせた、こころとからだの健康をテーマに年代別セミナーを開催。
また、全管理職を対象に「管理職向け教育研修」も実施。部下の健康管理のポイントと、休職や復職する部下のマネジメントの留意点を学んでいる。毎年、新任管理職向けには、同社の健康経営・健康関連施策を学ぶ研修も実施している。

・テーマ別セミナー
毎年実施する「健康に関するアンケート」から、健康リテラシーと生活習慣、生産性に関わる課題などを抽出し、テーマ別のセミナーを開催。
食事・運動・睡眠など健康全般のリテラシー向上を目的とした「健康セミナー」をはじめ、女性の健康・マインドフルネス・セルフケアなど多様なテーマのセミナーを展開している。
また、毎年実施している全社員を対象とした健康リテラシー研修(e-learning)では、健康経営の理念や健康リテラシーの高い社員像、健康関連施策の全体像やポイントを定期的に確認する機会としており、 2022年度からは女性の健康についての内容を追加するなど、毎年内容を更新しながら実施している。

・健康スキルアップ
2016年度より役員・管理職・リーダー層に向けて「傾聴スキルアップ研修」を継続的に開催。2024年度までに95回開催し、約2,400名が受講。
日本健康マスター検定の受検費用補助の他、各種健康経営・健康関連施策をまとめた「健康ポータルサイト」の設置や、健康に関わる専門職によるコラムの掲載など、社員の健康リテラシーの向上を図っている。

●卒煙支援・受動喫煙防止

禁煙施策は2010年から実施。2013年4月に就業時間中の喫煙禁止、2016年10月には受動喫煙防止の旨を就業規則に定めている。

また、卒煙を希望する社員に無償で提供する卒煙プログラム「卒煙チャレンジ」を導入。
禁煙に関する指導資格を持つ専門家による支援や、アプリによる卒煙プログラム、禁煙外来の費用補助を用意しサポートしている。
この支援は、健康経営推進最高責任者からのメッセージ等で参加を呼び掛けている。

●メンタルヘルス対策

2015年から毎年1回ストレスチェックを実施し、高ストレスが見られた社員には医師との面談を勧奨することでメンタルヘルス不調の予防に取り組んでいる。ストレスチェック受検率は90%以上を維持している。

実施結果を部署別に集計し、活用ガイドとともに各組織にもフィードバックを実施。全社の集計結果を医療職が確認し、特に健康リスクの高い部署には個別に支援するなど、きめ細かな対応を通じてより一層の職場環境の改善を促している。

◆健康経営実践による効果

全社員を対象に「健康に関するアンケート」を毎年実施。回答率は90%を超えています。
アンケートでは健康に関する社員の日々の意識・行動やニーズ、生産性などを測定し、各指標間での相関などを検証しています。

アンケート結果から、ヘルスリテラシー(健康意識)と行動習慣との関係や、行動習慣と生産性との関係が明らかになっています。

下のグラフのように、朝食摂取・平日の身体活動・睡眠の質において、良い行動習慣を身につけている方がパフォーマンス発揮度が高く、生産性が高くなっていることが示されています。

出典:SCSK株式会社|健康経営|これまでの実績

また、業務生産性を現す指標である「プレゼンティーイズム」「アブセンティーイズム」についても、以下のように改善された結果が出ています。

出典:SCSK株式会社|健康経営|これまでの実績

プレゼンティーイズムについては、2018年から2024年にかけて83.4%→78.5%と改善しており、体調不良を抱えたまま無理に働く状態が減少していることが示されています。
またアブセンティーイズムについても、健康上の問題で社員が欠勤した割合が2018年(65.1%)→2024年(42.0%)と減少しています。

これらは健康経営の取り組みが浸透し、生産性の質が高まっていることを示す好例といえます。

参考:SCSK株式会社|健康経営


まとめ|健康経営は“企業の生産性を高める投資”

今回紹介した3社の事例に共通するポイントは以下です。

1.健康づくりを会社として応援する仕組みを作っている

3社とも健康経営を単なる福利厚生ではなく、企業戦略として体系的・継続的に取り組む枠組みを整えています。
経営者・役職者の健康経営に対する意識が高く、組織全体で取り組むことで健康とパフォーマンスの向上を促し、生産性の質向上につながっています。

2.健康行動の促進と意識向上に向けた取り組みを導入している

健康行動を促進する施策や、健康意識を向上させる施策が導入されています。
従業員の健康に対する意識向上と具体的行動変容が、生産性の向上につながる形で設計されています。

3.健康改善が組織の集中力・効率・協働力を高めている

健康経営を体系的に実践することで、組織単位での集中力・効率・協働力を高めています。
その結果、企業に多大な影響をもたらすプレゼンティーイズムやアブセンティーイズムの改善につながり生産性に好影響を与えています。

健康経営は“コスト”ではなく「従業員のパフォーマンスを最大化するための“経営投資”」です。
組織的、継続的に取り組むことで生産性向上・離職率低下・職場満足度向上へとつながっていくのではないでしょうか。



以上、御社が取り組む健康経営について参考になれば幸いです!
福岡みらいテラス鍼灸は、企業様の現状に合わせ成果につながる健康経営の実現をサポートしています。健康経営に関するご相談、ご質問などは下のお問い合わせからお気軽にご連絡ください。

最後までお読みいただきありがとうございます!