腰痛ケア:冷やした方が良い?温めた方が良い?【福岡の鍼灸師が解説】

腰痛が出た時、最初に浮かぶのは「冷やすべき?温めるべき?」と迷ってしまうことはありませんか?

どちらも一般的な方法で、鍼灸院でも患者さんから非常によく聞かれます。

実はその答えは、痛みの状況によって変わってくるのです。

今回の記事では、それぞれの方法の使い分けについて鍼灸師がご紹介します。

冷やした方が良い腰痛

腰の痛みが出た時に冷やした方が適切な場合は、以下の3つです。

①「急性期腰痛の時」
②「患部が熱を持っている時」
③「患部が腫れている時」

急性期の腰痛では、患部が熱を持っていたり腫れている場合があるので、上記②と③も「急性期腰痛」に当てはまります。

順番に解説していきましょう。

①急性期腰痛の時

日本腰痛学会によると、急性期の腰痛は発症から4週間未満とされています。

参照元:日本腰痛学会|腰痛の種類

つまり、腰の痛みが出てから約1カ月間は急性期の腰痛で、セルフケアとしてできる方法は、基本的には患部を冷やすことです。

急性期腰痛のケアは、応急処置として冷やすことが望ましいですが「冷やす期間」などに注意点がありますので、次に解説していきます。

急性期腰痛の時に注意しておくこと

急性期腰痛とは、一般的に「ぎっくり腰」とよばれています。

ぎっくり腰の応急処置として冷やす場合、冷やす期間や時間に注意が必要です。

・冷やす期間

ぎっくり腰を冷やす期間は、発症から48時間以内とされています。

発症して間もなくは、激しい痛みがみられます。

この時期は患部に炎症がみられるので、一時的に冷やすと、痛みの軽減や早期回復が期待できます。

・冷やす時間

ぎっくり腰を冷やす時間の目安は、1時間当たり10分~15分程度が望ましいです。

ただし、長時間冷やし続けたり、急性期(腰痛の場合48時間)を過ぎても冷やしたりすると、症状の悪化や回復を遅らせてしまう恐れがあるので注意してくださいね。

あ!あと、ぎっくり腰を発症した日は、湯船に浸かると悪化する場合がありますので、その日はシャワーですませるようにしましょう。

②患部が熱を持っている時

腰痛を発症してすぐは、激しい痛みとともに熱感が現れることがあります。

これは患部に炎症が起きていることが原因で、主に急性期の痛みの時に現れることが多いです。

炎症には「疼痛(痛み)」「腫脹(腫れ)」「熱感」「発赤(赤み)」「機能障害(痛くて動かすのが辛いなど)」といった5大兆候があり、冷やすことで5大兆候を緩和させる効果が期待できます。

患部を冷やすことで熱を下げ、急性期の激しい痛みを和らげる機能が働くのです。

③患部が腫れている時

腰痛の場合、患部が熱を持ちながら腫れることもあります。

これも炎症が起きていることが原因で、体内の血液や体液を患部に集中させて身体が治そうとしている状態なんです。

冷やすことで、自己治癒力を手助けしてあげることになります。

腰を冷やすのが適切な理由

急性期腰痛(ぎっくり腰)の場合、なぜ冷やすのが望ましいかというと、次のような理由があります。

痛みを感じにくくさせる

急性期腰痛では、患部を冷やすと痛みを感じにくくさせます。

これは、痛覚を脳へ伝える神経よりも、冷感などを伝える神経の方が太く感じやすいため、冷やすことが痛みの軽減につながるんです。

熱を下げる

急性期腰痛では、炎症の影響で患部に熱を持つことがあります。

これは身体が治そうとしている自己治癒力の一つなのですが、あまり熱を持ち続けると逆に回復を遅らせてしまうし、何より身体に負担がかかります。

そこで、あまり熱を持ち過ぎないように患部を冷やしてあげる必要があるんです。

腫れを予防もしくは緩和させる

熱を持つことと同様、炎症の影響で患部が腫れることがあります。

これも自己治癒力なのですが、腫れをそのままにしておくと痛くて仕方がないですよね(汗)。

患部を冷やすと一時的に血流量が減少するので、腫れの予防や腫れて痛いのを緩和させる働きがあります。

以上のことから、腰痛の中でも発症して間もない急性期の腰痛に対しては、「冷やす」ことが適切な処置です。

「冷やす」ことは応急処置ですので、仮に発症から48時間以内でも、痛みが和らげば冷やすのを止めることをおすすめします。

温めた方が良い腰痛

温めた方が良い場合の腰痛は以下です。

①「慢性的な腰痛の時
②「急性期腰痛でも48時間以上経った場合

①慢性的な腰痛の時

慢性的な腰痛は、3カ月以上持続する腰痛と定義されています。

参照元:日本腰痛学会|腰痛の種類

3カ月以上持続している腰痛、一般的に言う「腰痛持ち」の方は、セルフケアとして基本的に腰を温めることが望ましいです。

②急性期腰痛でも48時間以上経った場合

急性期腰痛、つまりぎっくり腰の場合は患部を冷やすことが望ましいですが、発症から48時間以上経過した場合や、痛みが和らいできた場合は、温める方向に切り替えて良いでしょう。

しかし、発症から48時間経過しても患部が熱を持っていたり、腫れている場合は温めると逆効果になりますので注意しましょう。

腰を温めるのが適切な理由

腰の痛い部分を温めると、血流がよくなり身体の回復力が高まります

また、湯船に浸かって身体全体を温めるのもおすすめです。

血液循環が促され、身体全体で症状を改善させようとする働きがうまれるんです。

患部だけで治癒力を働かせるよりも、身体全体の治癒力を利用した方が早期回復が見込めます。


おまけ:腰痛の原因の見分け方

最後に、腰痛の原因の見分け方について解説します。
(おまけだけど、大事なことです!)

腰痛を引き起こす原因はいくつかありますが、簡単に分類すると以下があります。

①「筋・筋膜

②「骨(脊椎・腰椎)

③「内臓・血管

①筋・筋膜が原因の腰痛

ぎっくり腰のほとんどは、筋・筋膜が引き起こす腰痛に当てはまりますが、痛みの特徴としては動かすときに痛みが生じます。

例えば、腰を反らしたり前屈したりする時に痛みが出るけど、じっとしていると痛みが無い場合は筋・筋膜が原因であることが多いです。

この様な症状の場合は、鍼灸施術でも効果が期待できます。

②骨(脊椎・腰椎)が原因の腰痛

腰周辺の骨、つまり脊椎や腰椎が引き起こす腰痛には「腰椎椎間板ヘルニア」「腰部脊柱管狭窄症」「腰椎分離すべり症」「腰椎変性すべり症」「圧迫骨折」などがあります。

これらの痛みも、筋・筋膜由来の腰痛と同じく動作時に痛みが出ますが、激しい痛みとともに腰以外の、臀部や太もも、足などに痛みが及ぶ(放散痛)があることが特徴です。

この様な症状の場合、まずは病院で受診・検査をして原因を特定しつつ、鍼灸施術を併用されると相乗効果が見込まれます。

③内臓・血管が原因の腰痛

内臓や血管が引き起こす腰痛には、「腎尿路系疾患(腎結石、尿路結石、腎盂腎炎など)」「婦人科系疾患(子宮内膜症など)」「腹部大動脈瘤」「解離性大動脈瘤」「腫瘍」などがあります。

これらの痛みは筋・筋膜性の腰痛と異なり、安静時でも痛みが生じることが特徴です。

安静時でも痛みが出る場合は、病院を受診されると良いでしょう。


以上が福岡みらいテラス鍼灸の鍼灸師が教える「腰痛ケア:冷やした方が良い?温めた方が良い?&腰痛の原因の見分け方」でした。

腰痛が出た時、まずご自分でできるセルフケアとして冷やすか温めるかの判断基準にしていただけると幸いです。

冷湿布、温湿布の使い方もこの記事の内容に準じて使い分けていただけたらと思います。

この記事が皆さんの腰痛予防につながりますように!

最後まで読んでいただきありがとうございます。

福岡みらいテラス鍼灸は、働く人の腰痛を解消したいと考えています。

今後も福岡みらいテラス鍼灸をよろしくお願いします!